これまで,
でセミの研究での(親と子の^^)奮闘について執筆してきた.今年は5年生.さて何を選ぼうか(選ばせようか),夏が近づくにつれ,気になっていった.
理科では現在どんなことを習っているのだろうかと思い,学習指導要領を見ると,「植物,動物の誕生,日本の天気,水溶液,電磁力..」のような内容.この中から選べないかと思ったが,いまいちいい発想が浮かばない.娘も決めかねている.そこで,少し視野を広げて,5年生算数で習う「円周率」を理科的なテーマにできないかな〜と思い立った.
ふと思いたち,物理定数実測の入門演習としての円周率測定として,娘に提案したら,3.14...と学校か学童クラブかで聞いて知っている様子で,食いついてきた(テーマ確定;笑)
しかし,提案してみたものの,どうやれば(やらせれば^^)いいか,研究課題にするのはけっこう難儀である。
まず第一に,円周率測定の意義を伝えるのが大変だ.「円周率とは?」と聞いても「約3」とか「3.14ナントカ」としか帰ってこない(笑).
そこで,ワークシートを作成し,それに沿って演習を行い,その結果をレポートにまとめるような方針とした.
参考までに,ワークシートの内容を掲載する.ただし実際に用いたものから,いくつかの反省点を考慮して改訂してある(原版はかなり荒削りのまま走った..).
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「円周率をもとめよう」ワークシート:小学生用概要
(フルバージョンは文末のPDF,Word形式で提供):
§1 背景
(1)円周率とはなんのこと?
(2)なぜ重要か
(3)歴史
(4)小学生でもわかる複数の方法で,円周率を実測し,単に3.14という数字に留まらない,円周率の姿を体験してもらいたい.
必要な材料(本作業で採用した材料)
必要な材料(本作業で採用した材料)
§2 小学生でもできる方法で円周率をもとめてみる.
(1) アルキメデスのはさみうちを体験してみましょう.
(2)長さを使う.(バビロニアの人たちがやっていた方法の現代小学生版)
(3)面積を使う.
(4)体積を使う.
§3 まとめ
円周率を精度良く求めるのがかなり大変だ,ということがわかったでしょう.人類はいろいろな方法で円周率を求めてきました.今何桁までわかっているでしょうね.
おしまい
(2014.8起案:S. Kado)
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物理定数の計測,という観点では,単に算数にでてくる3.14ではなく,未知の定数をどうやって探り当て,精度良く決定するか,という一般科学,物理学の研究にも近いといえるでしょう.私自身,作ってみて,様々な計量,および作図,図表整理,平均や誤差計算など,科学的な思考力と手法を学ぶよいトレーニング教材になったのではないか,と思っています.
自由に活用いただければ幸いですが,どこかに公表される場合は以下を参考に願います.
講演スライド等:「(c) S. Kado, 2014」
印刷物・Web: http://plasmankado.blogspot.com/2015/02/circularconst.html
(改編は自由ですが,その場合は必ず文中に引用願います).
例)「 S. Kado, 2014 より許可を得て改編,URL: http://plasmankado.blogspot.com/2015/02/circularconst.html 」
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<実践>
このワークシートをやった後,レポートにまとめさせた.例年のように,A3のケント紙を重ねて本を閉じるように中央で折り,A4の冊子にした.
自由研究 提出版スキャンPDF (1.3MB): scanned report
レポート中,変数がCとかSとか,小学生らしからぬ(笑)ものがでてくる.これは親(=私)がワークシートを考案する過程で使ったものをそのまま残しておいたことに引きづられている(わざわざ△などに置き換える余力が(親に)なかったし,まあいいか,と...).
記述力はまだまだだが(誤字もある),ようやく自分で手を動かして作業をするようになってきたように思う.もちろん,測定装置(ノギス,天秤など)の使い方を教えたり,校正(本来は較正の字が適切),実際に測定したりする場合には,横について指示を与える必要はあった.
余談1:これら,データやグラフをまとめるのは,まだ相当時間がかかる.我が地域は夏休みが短いので,またまた提出前の2日間,深夜までかかっての詰め込みであった(最大の責任は取りかかりが遅いこと:笑).写真は夜中に父親(=私)が近所のコンビニエンスストアに駆け込み,デジカメプリントをやってくるハメになった..(大きさ調整のために何度も往復した...^^;;)--- パソコンからの印刷はやらない方針(子どもが自力でできないから,という理由 --- だが,深夜のコンビニプリントは自力でできるのか,言われると。。。。^^)
一部,マジックの清書がまにあわず,鉛筆書きのままのところが残っているのが悔やまれる....
余談2:がんばって仕上げて学校に提出したのだが,数日後,なぜか不満げな様子で帰ってきた.
聞けば,理科自由研究については,コンテストに応募することができたようで,それを希望したようなのだが,「円周率は理科ではない」とう理由で応募が認められなかったとのことだ.「次は誰から見ても理科に見えるものをやる!」と宣言していた(笑).
(これを明らかな理科演習にするにはどうすればいいだろうか? ビー玉の選別をビリヤード方式で行うとか..... 運動量保存則...... もちろん実際は無理だけど;笑)
後日談:5年生の2月になって,算数で円周率がでてきたらしい.厚紙の円を転がして演習を測定する方法が記載されている(厚紙や目盛が教科書の付録になっていて,至れり尽くせりである^^; ).
先生に言われて(かな?)夏休みにやったこの課題を学校に持っていき,クラスメイトと「どういうこと〜なるほど〜」などと言い合って見直しているとのこと.先生も一度家に持って帰ってちゃんと(笑)読んで,クラスメイトに説明してくれているようだ,とのこと(真偽は不明^^).
夏に「理科の自由研究として」コンテストに出展できなかった悔しさも少しは紛れたのではないだろうか.これもまあいい人生経験になっていると信じたい.
(2015.2. 23 文責 plasmankado )